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中世ヨーロッパで大流行!修道女の噛みつき病

Allan Ramsay - King George III in coronation robes - Google Art Project
Allan Ramsay, Public domain, via Wikimedia Commons
“King George III in coronation robes”(1765) BY Allan Ramsay
イギリス国王ジョージ3世の戴冠式の肖像画

Friedrich2 jung
Antoine Pesne, Public domain, via Wikimedia Commons
“Portrait of Frederick II of Prussia”(1745) BY Antoine Pesne
フリードリヒ2世の肖像画

イギリス国王ジョージ3世やプロイセン国王フリードリヒ大王の主治医を務めたヨハン・ゲオルク・ツィンメルマンの著書によると、中世後期の15世紀、ドイツの修道院で、ある修道女が仲間に噛みつき始めた。

するとすぐに、他の修道女たちも噛みつくようになった。

画像はイメージです

この修道女の噛みつき行為は、ドイツのザクセンからブランデンブルクへ、さらにオランダ、果てはイタリア・ローマの修道院まで伝染していったという。

ヨーロッパ縦断

また、イギリスの疫学者、ベンジャミン・ガイ・バビントンの著書『中世の疫学』(1844年)には、こんな事例も記載されている。

フランスの修道院で、ある修道女が猫のように鳴き始めるようになった。
すると、すぐに他の修道女たちも同じように鳴き始めた。
ついには修道女全員が、毎日決まった時間に数時間一緒に鳴くようになったという。

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この症状は集団ヒステリーもしくは集団心因性疾患によるものと言われている。
中世の修道女は自ら望んでなるものではなく、その多くが家族の意向でならされるものだった。

当時はカトリックと政治の結びつきが強く、布教が領土拡大の一端を担ったこともあり、教会・修道院は権力者に匹敵する権威があった。

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カトリックの人怒らないでください

領地を持つ教会・修道院は、税収入もあった。
このため、「安全な永久就職先」という意味で、家を継がない貴族の娘の将来はお見合い結婚をするか修道院に行くかの二択だった。
修道院での生活は、厳しい戒律に加え、持参金の多寡によって軽作業か重労働かがわかれる格差社会だった。

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非常にストレスのかかる環境だったといえよう。

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